【亀首】多職種による治療に抵抗性であった頚部痛患者の鍼灸療法による改善例
抄録:
【目的】整形外科、接骨院、鍼灸マッサージによる従来治療に反応しなかった38歳女性の猫背患者に対する鍼灸療法の有効性を報告する。
【症例】38歳、女性。背部痛と姿勢異常を主訴とし、頚胸椎部に著明な後弯変形を認めた。
【結論】鍼灸療法と姿勢矯正エクササイズの集学的アプローチにより、症状の改善と患者のQOL向上を認めた。
患者情報
- 38歳、女性
- 職業:事務職
- 既往歴:特記事項なし
現病歴
長期にわたる背部痛と姿勢異常に苦慮。整形外科、接骨院、鍼灸マッサージなど複数の医療機関で治療するも改善を認めていなかった。
身体所見
- 頚胸椎部に著明な後弯変形
- 立位姿勢における猫背様姿勢(亀首)
- 背部筋群の緊張と可動域制限
治療方針
- 鍼灸療法
- 週1回の施術
- 筋筋膜リリース
- 経絡治療
- 補助的アプローチ
- 姿勢矯正エクササイズ
- コアストレングストレーニング
治療経過
- 1ヶ月目:
- 痛みの出現が減少
- 筋肉の柔軟性改善の兆候
- 2ヶ月目:
- 疲労感の消失
- 頚部可動域の顕著な改善
- 3ヶ月目:
- 患者自身が「絶好調」と表現
- 全身状態の著明な改善
考察:
本症例は、従来の治療法に奏効しなかった猫背患者に対して、鍼灸療法とエクササイズの組み合わせが有効であることを示唆している。
とりわけ、頚部多裂筋などのインナーマッスルの鍛錬が有効のように感じている。
多角的アプローチの重要性が示された。
結論
鍼灸療法を中心とした包括的治療により、患者の背部痛と姿勢異常に顕著な改善が認められた。
継続的な管理と患者教育が長期的な改善に寄与する可能性が示唆された。
今後の課題:
- 維持療法の継続
- 定期的な経過観察
- セルフケア技術の習得支援
限界と今後の展望:
- 単一症例報告であり、一般化には限界がある
- より大規模な研究による検証が必要
- 個別的アプローチの重要性を示唆