骨の上手な育て方を柔道整復師(ほねつぎ)が解説します
今回のテーマは『骨』について柔道整復師が解説します。
カルシウムを摂っていればOK!
ビタミンDをとっていれば問題ない!
日に当たっていれば大丈夫!
などなど、皆様、骨を丈夫にする素晴らしい知識をお持ちでしょう。
今回の内容は盛りだくさん、みなさまの骨の知識をさらに最新の情報でアップグレードしていただき、より良い健康生活を手に入れていただければ幸いです。
とりあえず動画を見る
骨格について
骨は幼児では270個ですが、成長とともに骨の数は減っていき、成人では206個に落ち着きます。
骨の重さは体重の約15%~20%程度で、体重50kgの人であれば7.5kg~10kgほど。
骨は無機質のリン酸カルシウム。字面でわかるとおり、骨はカルシウムだけで出来ているわけではありません。リン酸カルシウムとあるようにリンも必要ですし、ビタミンなどの栄養も必要です。
骨の役割について
骨の役割は、5つあります。
- 体を支持する
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私たちが立ったりすわったりすることができるのは、骨格が体を支えているからです。
- 内臓などを保護する
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頭の骨は外部からの衝撃から脳を守っています。同様に肋骨や胸骨などは肺や心臓を、背骨(脊椎)は脊髄神経を入れて、外部からの衝撃から守るプロテクターの役割を担っています。
- 運動の起点
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関節を形成し、筋肉の働きによって私たちの動きを与えてくれています。
- 造血作用
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骨の中心部には、血液を作る場があります。そこを骨髄という造血作用を持った幹細胞によって、盛んに血液が作られています。
- カルシウムの貯める
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骨の主成分はカルシウムで、骨には多くのカルシウムが蓄えられ、神経や筋肉の興奮にはたらくミネラルです。
通常、血液中の濃度は一定に保たれており、血液中のカルシウムが不足すると、ホルモンの作用によって骨に蓄えられていたカルシウムが放出されます。逆に血中のカルシウムが多くなると骨に貯蔵します。
骨の内部について
上の図をご覧いただくとわかるのですが、骨の内部には血管が走行しています。その血管を中心にして、まるでバウムクーヘンのように幾層も重なった同心円柱がぎっしり詰まっています。
骨粗鬆症になると、密になっている骨がスカスカになってしまいます。
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。 日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。
- 60代女性の3人に1人
- 70代女性の2人に1人
- 50代男性5人に1人
初期は自覚症状に乏しく、骨折して初めて分かることもあります。転倒による骨折は脳卒中、認知症、高齢による衰弱に続いて介護が必要になる原因の約1割をしめています。
女性の場合はエストロゲン減少が原因といわれています。
女性ホルモンの減少で骨が・・・
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)は、骨の新陳代謝に際して骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあるがわかっています。
では、なぜ整形外科では積極的に投与していないでしょうか?
女性ホルモンエストロゲンを投与しない理由
専門外で詳しくない 61%、処方した経験がない28%、管理が難しい28%
NHK「みんなの更年期」調査より
診療報酬が安いので病院・クリニックは儲からない、癌に貢献してしまう懸念、ホルモン剤の取り扱いが難しいと言われています。
ホルモン剤管理料は更年期障害では無し。ゆえに健康保険に関係ない自由診療の選択肢もあります。
圧迫骨折に気をつけよう
骨密度が下がり、骨の強度が落ちてくると、圧迫骨折の危険性が高まってきます。
骨の健康状態をチェックしてみましょう。
背中が丸まってきた
50歳越えている
生活習慣病がある(糖尿、肝臓、腎臓、リウマチ、肺、副甲状腺など)
酒飲の飲みすぎ
タバコを吸う、吸っていた
若い特にダイエットしたことがある
家族に骨粗鬆症がいる
骨卒中って知っていますか?
転倒により様々な外傷によって移動能力をはじめとする日常生活が著しく制限された状態になります。
生命が維持できなくなる悪循環のことを骨卒中といいます。
60~70歳代の骨折は注意が必要です。
なぜなら、死亡リスクが3~4倍に増えるからです。
転倒しないように注意することも大切ですが、骨を丈夫にして骨折しないように対策することをお勧めします。
そのためには、運動、そして栄養が大事です。
オステオカルシンの活性化で骨を強く
とくに骨芽細胞から分泌される「オステオカルシン」は大切なメッセージ物質で、脳、精巣、筋肉、膵臓などに働きかけ、記憶力、筋力、精力などをアップする「若返り物質」として働くことが知られています。
内臓脂肪を燃やし、免疫力も上がます。
骨への刺激で分泌促進、血糖値の上昇も抑えることができる。
オステオカルシンの主な働き
血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防する
記憶力や認知機能を改善
男性ホルモンを増やす
筋肉を増やす
メタボを予防する
活性酸素の産生を減らし、免疫力を上げる
しなやかな血管をつくる
自分でやる骨粗鬆症の運動対策
栄養素:カルシウム、マグネシウム、リン、ビタミンD3、ケイ素
運動:骨密度を上げるため:オステオカルシンを分泌させる
かかとに負荷をかける。踵を上げてドンっと落とすなど。
片脚立ちなど、体幹を鍛え転びにくくする
無理のない膝つき腕立て伏せ
両手を腕の前で組み押し合う、ランニング、縄跳び
まとめ
骨粗鬆症を予防は、若さを維持することにつながります。栄養だけでなく運動の必要性も理解されたのではないでしょうか。
骨に刺激を加えて、元気元気でいつまでも若々しく健康生活を維持していきたいものです。